コメントしてみた

ただし3日前の話ですが。
厳罰主義者にこれだけは言いたい - Munchener Brucke

ノーマン 2008/07/30 19:30
http://www.geocities.jp/y_20_06/lwop.html
こちらの情報によれば、イギリスは絶対的終身刑(仮釈放なしの終身刑)を置いています。(オンブズマンさんの話を信用して)有期刑が「青天井」であったとしても、一定期間で仮釈放可能なシステムになっているのでしょうね。スペインは「青天井」ですが収容上限は30年(テロの場合には40年)です(絶対的終身刑、相対的終身刑はなし)。フィンランドは相対的終身刑(仮釈放ありの終身刑、日本でいう無期懲役)を置く国なので、上限無制限の有期刑を置く理由がわかりません。カナダはオンブズマンさんの仰るとおり、上限無制限の有期刑を置いているようですが、相対的終身刑も置いています。有期刑にかんしては「最大7年経過後仮釈放可能」というところで相対的終身刑と差別化しているようです。オーストラリアでは州の一部に絶対的終身刑が置かれ、全土で相対的終身刑が置かれています。有期刑が「青天井」なのかは定かではありませんが、仮にそうであったとしても、実際にそのような運用がなされているとは考えにくいです。さて、州によって異なるとはいえアメリカは死刑、絶対的終身刑、相対的終身刑、上限無制限の有期懲役などを置く「厳罰主義者」にとっては理想的な国です(州によって異なるというのに「アメリカでは〜」などとアメリカ全体がそうであるように語られているのを見かけるたびに辟易させられるのですが)。
ヨーロッパという括りで一概にいえる話ではないし、アメリカもまた然りではないですか。刑法体系の話をしているのならともかく。
気になるのは「厳罰化」の中身です。たとえば日本の殺人罪であるなら刑法199条「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」を「7年以上」に改正すればこれは厳罰化ですよね。199条を改正しないまでも運用面で「懲役12年→懲役15年」などとしても厳罰化ですよね。日本でも2005年1月1日に有期懲役の上限がそれまでの20年から30年に引き上げられましたし、運用面における厳罰化も行われているでしょう(無期懲役仮釈放者の受刑在所期間の長期化など)。しかしkechackさんが問題にしている「厳罰主義者」は日本における厳罰化を知らないはずです。kechackさんの「厳罰化」とオンブズマンさんの「厳罰化」で指す内容が異なっているがゆえにすれ違いが起きているように感じました。

なにか事件が起きるたび「厳罰化しろ!」というひとが現れるけれど、殺人事件の抑止に厳罰化が有効であるとして、どのていど厳罰化すれば有意味に作用するのか、そもそも(上記で述べているとおり)「厳罰化」とは具体的になんのことを指しているのか、説明できるひとはいるのだろうか。日本だって刑法第199条「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。」が「…若しくは5年以上の…」に改正され、また有期懲役の上限が20年から30年に引き上げられたわけで、これは十分「厳罰化」じゃないのかな(さらには無期懲役仮釈放者の受刑在所期間の長期化なども)。これらの「厳罰化」の効果はいかほど?
僕のなかで「厳罰主義者」は刑罰の抑止力を過剰に期待しつつ応報的側面をさかんに主張しているように思えるのだけど、刑罰における目的刑論だとか応報刑論だとかについては考えているのかなぁ?